"孫尚香と練師の記憶：
卓に並べられた料理の数々が、
温かな湯気を立てている。
君臣隔てなく一同が宴席につき、
親し気で、和やかな空気が流れていた。
「にちらのお魚はいかがですか?
腕によりをかけましたので、ぜひ」
「お口にあうといいのですが……」
「あ、ずるいわ、練師! 私も!」
「えーと……これ! これを食べてみて!」
「私が腕によりをかけて、その.…..
お塩を入れたの!」
「まあ、姫様ったら」
「えへヘ」
「 ….れ、どうしたの? 変な顔して」
「あ! 塩辛かった?」
「ごめんね! お水、お水飲んで!」
兵も将も、姫の失敗に大きな笑い声を
上げる。
それはまるで一つの家族のような……
彼らの気風そのものの光景であった。

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